福岡城 「梅」と「寄生(ほよ)」と『万葉集』

福岡城の日々

福岡の「梅」の開花は、気象庁の発表によりますと、平年より20日、昨年より24日早く、1月11日でした。

福岡城跡では、2月10日(土)~11日(日)に梅まつりが開かれます。

「梅」と言えば、元号が令和になり脚光を浴びた「梅花の宴」。『万葉集』におさめられている梅花の歌三十二首が詠まれた宴のことで、大宰府の長官であった大伴旅人の邸宅の庭で開かれました。

『万葉集』にはその息子の大伴家持が「寄生(ほよ)」を詠んだ一首があります。

   あしひきの 山の木末(こぬれ)の 寄生(ほよ)取りて 

   挿頭(かざ)しつらくは 千年(ちとせ)寿(ほ)くとそ  大伴家持(巻第十八・4136番)

この歌の意味は次のようです。

           あしひきの山の梢(こずえ)の寄生木(やどりぎ)をとって

   髪に挿すのは、千年の寿を祈ってのことよ      出典:『万葉集(四)』、講談社、中西進

この「寄生(ほよ)」というのは「やどりぎ」のことです。樹木の枝や幹に寄生して、水分、栄養分をもらって成長する常緑の多年生植物です。日本で見られる「やどりぎ」は、ケヤキ、エノキ、ブナ、サクラなどさまざまな樹木に寄生します。冬になり「やどりぎ」が寄生している樹木の葉が落ちると丸い鳥の巣のような姿がよくわかります。

大伴家持がこの歌を詠んだのは8世紀のことですが、現在の福岡城跡でも見ることができます。

目を凝らしてよく見ると、出来立てほやほやならぬ、出来始めの「寄生(ほよ)」も!

生命力と永遠の命を象徴する縁起の良い植物とされ、昔からヨーロッパでは、クリスマスツリーに飾る習慣があった「やどりぎ」。その花言葉は、「困難に打ち勝つ」「忍耐」です。

『万葉集』で詠まれている「梅」と「寄生(ほよ)」を同時に見ることが出来るこの季節、福岡城跡まで足を運んでみませんか?

スタッフ一同お待ちしております。

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