冬の福岡城跡は木々の葉も落ち、石垣が良く見えます。福岡城跡の石垣は現在も良好な状態で残存しているため、石垣に興味がある方にとって冬は散策の絶好の機会とも言えます。
今回は福岡城跡の冬の景色と石垣についてご紹介したいと思います。
まず福岡城跡の石垣についてですが、石材の種類や加工、積み方によって以下の4種類(A類~D類)に分類することができます。
A類・・・主体となる石材が玄武岩と礫(れき)岩の野面石(加工を施していない石)。積み方は「布目崩し積み」で、出角は未発達な「算木積み」。
B類・・・石材は玄武岩の野面石。積み方は「布目崩し積み」で、出角は未発達な「算木積み」。
C類・・・石材は花崗岩の割石と玄武岩の野面石。積み方は「乱層積み」で、出角は花崗岩の割石で構成された「算木積み」。
D類・・・石材は花崗岩の割石。積み方は「乱層積み」で、出角は花崗岩割石の「算木積み」。
※布目崩し積み・・・石を横方向に置いていき、横目地を意識した積み方
※乱層積み・・・石が多方向を向き強度を増した積み方
※算木積み・・・石垣の角の積み方で長方形の石材を一段ごとに方向を違えて積み上げる方法
石垣の分類は石材の加工や積み方をみると、A類⇒B類⇒C類⇒D類と発達していて、ここから福岡城の石垣の築造過程を追うことができるようです。また城内の場所によって使用する石材も違います。上之橋御門・下之橋御門・追廻御門といった内郭への出入口や二の丸北面、本丸表御門と同裏御門など、比較的人目につく場所は外観を意識して花崗岩の割石が用いられています(C類・D類)。一方で城郭の背面にあたる本丸南面等は玄武岩の野面石が使用されています(B類)。このように城郭の表面と背面・内部では明確な石材の使い分けがみられます。
※参考史料・・・新修『福岡市史』 特別編「福岡城」
二の丸東御門跡北側の石垣(D類)と小天守台東側の石垣(A類)です。見比べてみると同じ石垣でも随分と違います
二の丸東御門跡北側石垣(D類)
小天守台東側石垣(A類)
このように様々な石垣を見ながら散策するのも楽しいかもしれません!(^^)!
また城内には所々に椿や山茶花等、冬の花々を見ることもできます。
二の丸の梅園では、梅が咲き始めました。春の訪れを感じます。
石垣を始め、福岡城跡は冬の散策も十分に楽しめます。
暖かくして是非福岡城跡にお越しください。