7月3日に、講演会『海が育んだおもてなし料理』が、福岡市美術館レクチャールームにおいて開催されました。講師は昨年“鴻臚館遺響2021”で、鴻臚館の「おもてなし料理」をコーディネートされた富松由紀さんです。
鴻臚館の時代は海岸線が現在よりも更に近く、京都や奈良の都で出されていたおもてなし料理よりも魚介類をふんだんに使っていたのではないか‥と、考えられているそうです。1300年ほども昔からその土地の旬の食材を使っておもてなしをしていたのは現代に繋がることも多いですね。
鴻臚館遺響では鴻臚館のおもてなし料理を復元するにあたって、発掘されたトイレ等の遺構や当時の納税の記録(米・鯛など)を参考に、また当時食べられていた野菜等も文献で調べおもてなし料理の復元に繋げているそうです。山芋・里芋・大根・生姜は当時も使われていましたが、じゃがいもやさつまいもは戦国時代から食べられ始め、人参や玉葱は江戸時代から、キャベツや白菜は明治以降と野菜一つをとっても現代よりも種類が少なく、当時使っていたであろう食材を使っておもてなし料理へとアレンジしているそうです。
【鴻臚館跡展示館:出土した木簡=荷札。何が納められたか判ります。】
1300年前も現在も料理を通しておもてなしの精神は現代の私たちへ脈々と引き継がれているなと改めて実感しました。いつも食べているお米も鴻臚館の時代の方々も食べていたのかな?おかずはどんなものが添えられていたのかな、スイーツは?などと、展示館内のパネルを見ながら思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
【鴻臚館跡展示館:鴻臚館で使っていた食材を使った料理】
現在、福岡はアジアの玄関口といわれていますが、鴻臚館の時代も遣唐使等により様々な国の方々との交流も盛んに行われていた場所です。鴻臚館はまさに海の食材や人々の交流を通して、海が育んだ迎賓館だったのではないでしょうか。
【鴻臚館跡展示館:鴻臚館後期のCG】
鴻臚館跡展示館では今秋にお香のワークショップ等の開催が予定されております。
福岡市の文化財HP ⇒https://bunkazai.city.fukuoka.lg.jp/
鴻臚館遺響HP ⇒https://www.korokan-ikyo.jp/
鴻臚館跡展示館はこのほど全面リニューアルいたしました。27年前の開館当時の屋根の色になりスタッフも初心に帰り皆さんを心よりお待ちしております。
福岡城、鴻臚館への散策は熱中症予防をされてお越しください。