福岡の今年の梅雨入りは、例年より20日も早く、統計史上でも2番目の早さだったとか。
城内を彩る花々も、今年はどれも開花が早く、菖蒲は見頃を過ぎつつありますが、現在はアジサイとスイレンを楽しんでいただくことができます。
下之橋では、この2種類の花を同時に見ることができ、人気の撮影スポットとなっています。
さて、福岡城跡で梅雨の時期に開花する植物ですが、アジサイやスイレンだけではありません。福岡城のお堀で初めて発見された植物の開花もこの時期なのです。
その名も「ツクシオオガヤツリ」、漢字で書くと「筑紫大蚊帳吊」です。
カヤツリグサ科は、茎が三角形で、両側から裂くと四辺形となり、拡げた形が蚊帳を吊った形に似ていることから「蚊帳吊草(カヤツリグサ)」の名が付いたそうです。世界中に約3,700もの種類があり、日本でも道端や田畑でよく見られます。古代エジプトで紙の原料として使用されたパピルス(カミガヤツリ)もカヤツリグサの一種です。
「ツクシオオガヤツリ」は、そのカヤツリグサ類の中でも特に大型のもので、1.5メートルの高さにまで成長します。明治39年に福岡城のお堀で初めて発見されたことから、頭に「筑紫」の名も付きました。
環境の変化に敏感で、泥の質が変わると消失し、絶滅危惧種となっている「ツクシオオガヤツリ」。ほぼ福岡市内でしか見ることができないため、県の天然記念物として指定されています。
ツクシオオガヤツリの花は、花びらがあるわけではなく、鱗状のものが重なり合った小穂から成ります。この穂ははじめはグリーンで、だんだんと黄味を帯びていきます。
植生が一定しないため、常に同じ場所にあるとは限らないようですが、比較的見つけやすいのが1号堀と6号堀です。
1号堀では、巣作り中のアオサギの姿を見ることもできます。
ハスの花ももうじき開花の時期を迎えます。
お堀端では、ハスの観賞と同時に「ツクシオオガヤツリ」もぜひ探してみて
ください。