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野鳥を愛鳥

野鳥を愛鳥

福岡城の日々 2023年12月10日(日)
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冬枯れの枝には可愛らしい小鳥の姿が見え、お濠の水上には渡り鳥の鴨達が賑やかに集う季節が来ました。愛鳥家の皆さまは一年を通して、ここ舞鶴公園(福岡城跡)へも足を運び、野鳥の姿を楽しんでいらっしゃいます。そこで私も真似事で野鳥の写真を撮ってみたのですが、これがまた、なかなか難しいものですね。じっと静かに待っていると、時々ファインダーの中に小鳥達が遊びに来て、可愛くポーズをキメてくれるのですが、それでもその素早い動きにピンボケしてしまいます。

さてその昔、第10代福岡藩主黒田斉清(なりきよ)公は、自著『本草啓蒙補遺』の上巻に「予四歳ノ時ヨリ鳥ヲ愛シ」「予七歳ノ時ヨリ鵞(ガチョウの意)ヲ愛ス」等とありますように、大層、鳥がお好きなお殿さまでした。斉清公は赤ちゃんの頃に既に藩主でしたので、数え年で7歳、ガチョウを愛でるその様子は、おそらくとても可愛らしい藩主さまだったことでしょう。

 

斉清公の他の著作には『鴨経』、『鵞経』(カモ、ガチョウの解説)等があります。シーボルトが来日していた当時は、お互い第一級の生物学者同士で楽しい交流をしていたようですよ。斉清公がコレクションした「百種」のカエデ 葉は、シーボルトが帰国の際に持ち帰り、今でもオランダの国立植物標本館ライデン大学分館の収蔵庫にあるそうです。

野鳥の話に戻りますと、第12代(そして最後の)福岡藩主である黒田長知公の御令孫、黒田長禮(ながみち)氏と、長禮氏の御令息、黒田長久氏は親子共に非常に優れた鳥類学者で、それぞれに「日本鳥学会」の会頭を務めていらっしゃいました。長久氏は「日本野鳥の会」の3代目会長でもいらっしゃいます。そのように黒田家と野鳥、鳥類学は現代史においてもなお縁がとても深いのですね。

現在、城跡のあちこちでは冬を彩る山茶花が咲いています。野鳥観察される際にはフィールドマナーを守り、野鳥の生活を脅かさないよう、どうかそっと静かに見守ってあげて下さいね。

参考:
「本草啓蒙補遺」 (秘籍大名文庫) – 国立国会図書館デジタルコレクション
「文政 11(1828)年、出島で会ったシーボルトと福岡藩主黒田斉清」 宮崎克則(西南学院大学博物館 研究紀要 第4号)
※写真は全て2023年11月中旬から12月上旬撮影。