今年の福岡城さくらまつりが終了し、日常の春が戻ってきました。葉桜も美しい福岡城内の桜木は、太平洋戦争後に植えられたものですが、江戸時代にも、お殿様(6代藩主の継高公)が家来衆と一緒に城内の御殿のお庭で桜の鑑賞会を開いたという記録が「黒田新續家譜巻二十九」に残っています。
(多聞櫓のある南丸のあずまや:2023/4/3)
それは宝暦3年2月12日、三の丸御殿の下の間(御新間)で開催され、この「下の間」の位置は、残されている図面からすると当時の三の丸御殿の北端、奥の離れのような場所で、現代の「三ノ丸広場」南にあったようです。この日付を新暦換算してみますと、1753年3月16日になり、今年、「三ノ丸広場」の南側の桜並木の一枝が、一足早く開花していたのが3月15日頃でしたから、もしかしたら継高公が往年を懐かしんでお花見をしていたかもしれませんね。
その「黒田新續家譜」を巻三十へと読み進めると、「花見遊山等については、遠慮することなくもちろん自由である。お昼に適当に各自用意したお弁当をひろげるのも良いが、野山で宴会、パーティーを開くのは禁止。農家の邪魔をしてはならない。」などという意味合いの記事もあり、お花見というものは当時から、とても楽しい行楽だったことが伺われますね。
さて現在4月の半ば、遅咲きの桜が名残惜しげに揺れています。
一方、燃えるばかりに咲くのがつつじ園のつつじ。大人よりも背の高いつつじの花の回廊です。
(つつじ園:2023/4/10頃)
また、御鷹屋敷跡の「牡丹芍薬園」では、牡が大輪の花を優雅に咲かせており、これからは芍薬が咲いていきます。
(牡丹芍薬園:2023/4/10頃)
そしてなんといっても福岡藩黒田家の家紋、藤の花の咲き匂う季節です。
(本丸の藤棚2023/4/10頃)
城内には2カ所藤棚がございます。優美な藤波をゆっくりお楽しみください。
御鷹屋敷に近い方の藤棚では、今月22日(土)・23日(日)に「藤まつり」が開催されますよ。
園内の現在の開花状況や詳細につきましては、舞鶴公園のホームページ等でご確認ください。
ご来場の際には、「福岡城むかし探訪館」や「鴻臚館跡展示館」、「三の丸スクエア」にも是非お立ち寄りください。
参考図書
:「新修 福岡市史特別編 福岡城 築城から現代まで」
:「新訂黒田家譜第四巻」