ジョギングや散策、レンタルボートなどで多くの人たちが楽しむ全国屈指の水景
公園、大濠公園。広さは39万8千平方メートル(福岡PayPay ドーム約6個分)あ
り、そのうち半分以上の広さを池が占めています。
このシリーズの「その4」でもお話しましたが、福岡城は周囲をぐるりと堀で囲
まれていて、福岡城の西側に位置する大濠公園もまた、福岡城の堀の一部でした。
福岡城が築かれた頃は、大濠公園のある一帯は博多湾へとつながる入り江でした
が、築城する際にその北側部分を埋め立てて町を造るとともに、入り江となって
いた部分をそのまま堀として利用しました。
「大きな堀」だったので「大堀」です。この「大堀」の字が「大濠」へと変わった
のは明治時代以降です。
一方、築城の際、お城を囲む堀は、肥前堀などを掘削して福岡市の中心部・中州の
そばを流れる那珂川まで繋げました。これにより、那珂川から取り込まれた水は
城の周囲を巡って、大堀につながる黒門川から博多湾へと流れ出ました。
このように福岡城は川の水を巧みに利用して、堀の水を循環させていたのです。
また、これに伴い元もと大堀に流れ込んでいた樋井川(ひいがわ)は、二本の
河川からの流水により堀の水が溢れるのを防ぐため、進路は鳥飼付近で大きく西へと曲げられました。
明治時代に入り、那珂川とつながっていた肥前堀などは埋め立てられ、そこは市
役所や商業施設用地として利用され、大堀も昭和2年の「東亜勧業博覧会」の会場と
なった際に埋め立てられて、以前の半分の大きさとなりました。その後、公園とし
て整備され「大濠公園」が誕生しました。
さて、現在の大濠公園の水はしょっぱいのかどうか?
水の成分を実際に測定すると、ほぼ真水だそうですが、詳細な分析では、築城前ま
では博多湾の入り江だったことなどから、今でもほんの少し塩分も検出されるようです。
現在、大濠公園の池の水は浄化装置により浄化されていますが、飲むことはできません。どのくらいしょっぱいかな!?とこっそり舐めたりしたらダメですよ!
次回は、福岡城最大のミステリー「天守閣ってあったの?」です。お楽しみに。